個体差はありますが、猫は生後6ヶ月ほどで繁殖可能となります。オス猫の繁殖行動には、メス猫を求めて行動範囲が拡がる、自分のテリトリーを示すためのマーキング(匂い付け)をする、メスを得るために喧嘩をするなどがあります。これらは、交通事故、不衛生、病気の感染などのリスクを伴います。特に室内飼育の場合は問題がより大きくなりますので、これらの行動を始める前(生後6ヶ月より前)に去勢手術を行うとよいでしょう。
患者さんから「去勢手術を受けると太ってしまう」と相談されることがあります。確かに中性化しますので少し丸くなる場合もありますが、ホルモンのバランスを崩して肥満化すると言う説は実証されていません。では、なぜ太ってしまうのでしょうか?それはストレスが減っていくためです。繁殖行動自体、運動量も増えますし、自分の縄張りにいつも神経を使っています。また、交配欲は自然なものですが、自由に交配するわけには行きません。このように、繁殖行動自体が、ストレスつまり、カロリーを消費しているものなのです。個体差はありますが、去勢手術をしてカロリー消費が減っているにもかかわらず術前と同じように食べていると太ってしまうわけです。オス猫の肥満は、FUS(猫の泌尿器症候群)のリスクが高くなるため、肥満傾向のある猫は食事に気をつけてください。肥満用の療法食もありますので、かかりつけの動物病院で相談されるとよいでしょう。